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(チャミペン)サスム&(ユノペン)ホランイです。
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東方神起サランへ♡2人の妄想小説です。時々、R18有り。
蓮華後記とあれこれ。
蓮華後記とあれこれ。







こんにちは、ホランイです。

この度は「君に逢いたくて」全66話、お付き合いいただき、ありがとうございました。

一度更新を打ち切るなど、正直非常に苦しい作品となりました。

それにもかかわらず、変わらず読みに来てくださった皆様、待ってるよのコメ、ポチ、拍手、、、
本当にありがとうございました。

本当に感謝の一言につきます。

そして次に謝罪です。
私のミスで、「この『君に逢いたくて』は全三部構成です。」
この告知を怠っていましたことを深くお詫び致します。

コメントの中で実は三部構成です。という話をしていて、すっかり告知した気になっていました。

最終話に頂いた皆様のコメントを読んで本当に愕然としました。
本当に申し訳ありません。m(_ _)m

正直、これで終わるの???
と疑問に思われた方、なんだかスッキリしない方、沢山いらっしゃると思います。
はい、当然なんです。
この一部ではほとんど何も明かされていないからです。
二部でそれをじっくり紐解くため、敢えてほぼ謎のまま一部を終わらせています。

謝罪ついでで申し訳ありませんが、この場でこの先の予定について書かせていただこうと思います。

まず、次回二部は江戸時代に遡り、ユンホの祖父であるもう一人のチョンユンホとミンの秘めた愛について書いていこうと思っております。

その二部で、一部とは逆にミン視点でミンの謎?に迫りたいと思っております。

ミンをとことん謎にしておくため、あえてミンsideは一部ではほぼ書きませんでした。一話のみです。それは二部に残す為にしたことです。

そしてその次に三部、これはとことんまでミンを愛したユンホが、生まれ変わったミンを拾って育てるところを書いていこうと思っています。
ここは、初めてユンホ、ミン、二人視点で書いていこうと思っています。

次に作者sideの言い分です。
本当にモヤモヤしたハッキリしない作品だなぁと自分でも反省しきりなのですが、一部終了に伴いこれだけはハッキリと作者の意図を伝えさせていただこうと思います。

その①
ユンホさんはほぼ祖父ユンホさんの生まれ変わりです。
なぜほぼかというと本人にその記憶が一切ないからです。
記憶がなくて本人と言えるのか?
ということでほぼとさせていただきます。
ストーリーは私が考えていますので、彼らにとって作者である私は神なんです。笑
彼らの人生を翻弄している張本人です。
だから不自然でもお許しください。
ほぼ、生まれ変わりです。笑

その②
最終話で拾った赤子はミンです。
ミンのほぼ生まれ変わりです。
はい、ユンホさんと同じ現象です。
三部では、お互いに今度は今までと逆の悩みを抱えてもらう予定です。
はい、神の決定事項です。笑

これに関しては、この赤子はユンホとミンの子か?祖父とミンの子か?というコメントを沢山いただきまして、私も成る程と思いました。
私が、ミンを女性化しすぎてしまった故かもしれませんね。
ファンタジーですから、あってもおかしくはないのですが、私の中でミンはあくまで男なんです。
ですから子供を産むことはありません。

逆に凄く未来的なストーリーなら、2人の子供という発想もあるかもしれませんが、私の頭の中にそれはまだ存在していません。
想像できません、、、が正しいかもしれませんが。
子供が欲しいという発想自体男性には希薄なイメージなんですよね。
私の中では女性特有の考えかな?と思っています。
なので、今回はミンの生まれ変わり、、、ということでよろしくお願いします。


その③
このお話を私は蓮華、と略して呼んでいますが蓮華はこの話の根幹を担っています。
この話は輪廻転生のお話です。
ちょっと調べただけなので詳しくは分からないのですが、蓮華は輪廻転生の象徴なのだそうです。仏教の教えでは。
私は無宗派ですが、とりあえず分かりやすくこれを題材として使わせて頂いた次第です。

以上この3点だけ、解説させていただきました。
解説がないと理解できない小説、、、駄目ですねぇ。涙
本当に、読者様を戸惑わせてしまったこと、深くお詫び致します。

もし別にいいよ。と仰ってくださる方様、二部以降もよろしくお願い致します。
適当な作者で本当にすみません。



なんか既に長くなってしまいましたがもう少し書かせて下さい。すみませんm(_ _)m


えーと、この「君に逢いたくて」を書くに至った動機と言うか思いつきは、最終話のユンホがミンの骨を食べるシーンなんです。
これを書く為に長い長い話を考えました。

何故こんな残酷なシーンを⁉︎と思いますよね。
私も残酷だと思います。
結局は愛と嫉妬。これを書きたかったんだと思います。
で、これを一部にしました。

二部は愛と苦悩。
三部は愛と戸惑い。

こんな感じでいけたらいいなぁ。
ザックリそんな感じです。
正直三部は切り離しても、書かなくてもいいんです。
でも一部と二部はワンセットですので、二部は必ず書きます。
でないと話が成り立たないので。
こんな適当作者ですが、呆れずにお付き合いいただけたら嬉しいです。
どうかよろしくお願いします。


この「君に逢いたくて」再開後は前書きにもある通り、どの方にも読んでいただける内容ではありませんでした。
だから何人の方に読んでいただけるか不安でした。
実際毎回読んでくださる方はほぼ一緒で、新規のお客様はほぼいませんでした。
でも、話が進むにつれ拍手を押してくださる時間が顕著に早くなっていったんです。
同じ150拍手でも、150への到達が早いんです。
それって、早く読みに来てくださってるということですよね?
つまり、次の内容が気になっていると。
それが本当に嬉しくて、何度確認したかわかりません。
ただ読んでいただけるだけでも嬉しいですが、更新を待っていただけてる喜びは本当に大きかったし、凄く励まされました。
すいません、ポジティブシンキングで。笑
そしてどんどん内容は転がり落ちる一方なのに、読者様が減らないことも本当に嬉しかったです。
あ、増えることもなかったですが。笑
驚くぐらい、毎日一定のポイント数を保っていて、こんなことは初めてだと思います。
減らなくて嬉しいとか、おかしいですかね?笑
でも本当に嬉しかったんです。
ありがとう、ありがとう!!


次に蓮華以外のあれこれですが、
正直、次に何を書こうか迷ってます。

最近サスムに言われたんです。
なまらMEN恋の作品一つも完結してないぞと。
確かにそうでした。
自分でもビックリです。
いけませんねぇ。

で、最近ピミルへの熱烈ラブコールを多数いただきまして、これは再開するかもしれません。
ただ、ピミルは二人で書いていること、情報収集にかなりの時間を要すること。などいろいろな問題があるんです。
しかも内容もこの先いろいろあれなんで、ましてやリアル設定ですので、もしかしたら全話鍵の可能性も大です。
しかも短編を組み合わせる形かもしれないし、まだはっきりとはしていない状態です。
また詳しく決まったらお知らせをさせていただこうと思います。

私ホランイ個人の作品としては、、、
正直悩んでます。
家庭教師はいい加減書かないと気持ち悪いし、蓮華はあまり間を空けない方がいい気もするんです。
ただ、正直どちらを書くのも消耗必至なんです。

家庭教師は私自身が既に忘れかけてますし、蓮華に至ってはフルマラソン並に消耗します。

で、結局蓮華の反動で気楽に書けるラブコメを書いています。今です。はい。
本当にすみません。

その書きかけのお話のストックが僅かにあるのでまずそれをのんびり更新して、また暫く雲隠れしようと思っています。
近々、お知らせを出す予定です。


ランキングにつきましては、いる意味はほぼない我々です。
でも正直ランキングを抜けたらこんなBlogをわざわざ読みに来てくださる方がいらっしゃるとは思えないので、あえて内容も更新頻度も全くそぐわないのに在籍させていただいてる次第です。
いずれ、人気者になれたら抜けましょうかね。笑
本当にすみません。
こんな適当Blogにポチ、拍手本当に嬉しいです。





最後に我が相方、サスムへの感謝。
蓮華は途中で、本当に行き詰まり書けなくなりました。
そこでプロットの見直し、仕上がった分全ての校閲、本当はやりたくないであろうダメ出し。
この全てを担ってくれたのがサスムでした。
サスムがいなければ、とんでもない作品に仕上がっていたことは間違いないです。
だって、蓮華の執筆中にサスムから基本の文章の書き方を教わった阿保なんです。私。
プロットなんて、言葉も知らない。ろくに本も読まない。
感覚で書いてました。今まで。
蓮華で初めて先にストーリーを考え、プロットを作りました。
この蓮華の構成を褒めてくださった読者様がいらして、本当に嬉しかったんです。
全てサスムのおかげです。
サスムよ、いつも本当にありがとう。
これからもよろしくねーーー!!笑




本当に長々とすみませんでした。m(_ _)m

とにかく、最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。
コメントも順次お返事させていただこうと思っております。




こんななまらMEN恋ですが、これからもよろしくお願い致します。

心からの感謝を込めて。








サスム&ホランイ





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【2015/08/30 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(48) |
君に逢いたくて66 最終話
君に逢いたくて66 最終話

最終話です。
ここまでお付き合い下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。
どうか蓮華の最後を見届けて下さい。
本当にありがとうございました。





























「昔あの池に
あの人の骨を撒いたんだ。」











ソンミンさんの一言は
まさにトドメの一撃と言うに相応しかった。

結局、君は祖父の元へと行ってしまったのだ。


私に残されたものは
君の欠片と
祖父の代打を務めた日々の記憶。



悲しいよりも
なんだか虚しくなった。




「先代の遺言でね、通夜の晩に少しだけ盗んで撒いた。
あの池は、二人にとって特別な場所だったんだろうな。」



ソンミンさんは、小さな写真を時計の隣にまるで供えるようにして置いた。



「これを先代に墓に入れて欲しいと頼まれてね。しかし流石に大奥様に申し訳ないだろう?
だから、せめて遺骨を撒いてやろうと思ってな。」


そんな話は少しも聞きたくはない。
今でも死にたいほどなのに
何故そんなにも私を苦しめるのか?


「なぜ、それを私に?」


なんと残酷なことであろう。
私とて、まだ息をしているというのに。


「坊ちゃんは知っておくべきかと思ってな。
それに私も、もうこの年だ。
そろそろ荷物を下ろしてもいい頃合いだろう?」


「私よりは、きっと長生きできます。」


強張って掠れた私の声に
ソンミンさんはそっと首を振った。


「坊ちゃんは、これからの人だ。
生きる義務がある。
それに坊ちゃんは二人の分も、きっと長生きするさ。」


皆が一様に、生きろと私を苦しめる。

到底理解などできぬその仕打ちに
苦しくて、悔しくて、また涙が溢れた。




全く、いつになれば干からびるのか。
早く死にたくて涙は溢れるのだろうか、、、






「全く、本当にあの人にそっくりだ。」





ソンミンさんは悲しい色の瞳を細めて
私の頬をそっと拭ってくれた。


「あの人の涙も、こうして拭ってやったんだ。
何度も、何度も、、、
だから、もう二度と御免だ。
坊ちゃんは年寄りを悲しませないでおくれ。」


ソンミンさんの乾いた皮膚は
涙を拭くのに丁度よく、
撫でられる感触の心地よさに
いつの間にやら眠りに落ちていった。














目が覚める度、
酷くガッカリした。


まだ終わらない、、、
と、苦い思いが胸に広がる。


終焉を待ちわびるだけの時間。
そんなものが幸福な筈はなかった。





それでも身体は
徐々に終わりへと向かっているようで

目を開けている筈が、いつもより視界がボンヤリとしていて
終わりが近い、そう感じていた。


すると無性に君に逢いたくなって
力の入らぬ身体を捻り、枕元にある写真に手を伸ばした。


霞んだ目を凝らして見ると、
そこにはいつにも増して美しい君と
少し照れたような祖父の
仲睦まじい姿が写し出されていた。

二人共穏やかな笑顔をたたえていて、
とても幸せそうだ。

こんなにも優しい君の笑顔を
私は知らない。

だからこんなにも美しい君の笑顔が
こんなにも私を苦しめる。




激しい嫉妬にかられ
その繋いだ手を
斬り落としてやりたいと思った。





嫌だ、嫌なのだ。

やはり君を渡せはしない。

どうしても耐えられぬのだ。

一人ぼっちで生き続けるのも、

一人ぼっちで死にゆくことも、、、









写真をグシャリと握り潰し
今度は小瓶に手を伸ばした。


手に取ると、シャランと小さく音がして
君の優しい声を聞いた気がした。







愛してる。
今でも、これからもずっと。
寂しくて
君に逢いたくて、堪らない。








小瓶の蓋を開け、君の欠片を口に含んだ。


砂糖が混じって仄かに甘い君の欠片。


これは私のもの。


これで君は、永遠に私のものだ。












バリバリと音を立てて
残さず君を食べた。

















「チョン ユンホ、、、」









いつの間にやら、
それをシウォンが見ていた。











「シウォン。
頼みがあるのだが。」











そして私はシウォンに負ぶさり、
蓮華の池に行った。




死ぬ前に
もう一度見たかったから。




君を愛した蓮華の池を。

















久しぶりの蓮華の池は
見た事もない程真っ赤に染まり

私は心の目で
蓮華一つ咲かぬその池に
満開の花を咲かせた。








今でも霞むことなく
鮮明に浮かぶその光景を、
シウォンに負ぶわれながら
染み染みと眺めた。







シウォンは泣いていて、
「泣くな。」
と私は言った。







私の心の中にある
あの満開の蓮華の畔に思いを飛ばし
君との思い出を口ずさんだ。










ひ〜〜らいた、
ひ〜〜らいた、、、













それは既に歌でもなく
ただの掠れた独り言のようであったが
恋しいと思うこの気持ちが

君に届いただろうか。











ぼんやりと涙で滲む視界を
夕焼けのせいにした。









これが、私の終わり、、、







最後は
やはりなんだか悲しくなった。





とても悲しくなった。

















シウォンに負ぶわれたまま、
私はゆっくりと目を閉じて
この景色を胸に焼き付けていた。


より一層に色鮮やかな蓮華の畔を。





出来ることなら、
ここで私も真っ赤に溶けてしまいたい。



溶けて混ざり合って
永遠に君と共に在りたい。












するとその瞬間、
風と共に耳を擽る何かがあって
思わず耳を澄ませた。


それがどうにも赤子の泣き声の様な気がしてならず
咽び泣く友に言った。











「泣き声だ、、、聞こえるか?」















「、、、私の声であろう?」















「違う。赤子の泣き声だ。」
















シウォンは一目散に駆け出し、
私は必死で耳を凝らした。


そこにあったのは
取り壊された小屋の横にある木の下で
全身を震わせて泣く小さな塊。


その小さな身体は
想像もつかぬ程の大きな声を必死に発していて、心がネジ切れるかと思った。








それは、私が捨てたがっている
命の叫びだった。










その赤子を見て
シウォンは声を震わせた。











「チョン ユンホ、、。
私の記憶違いでなければ赤子を包むこの着物、、、」











シウォンは、「信じられない」と言って首を振った。



だが事実だった。










それは、
君に贈った蓮華色の着物であった。








震えが止まらず
必死でしがみ付く私を
赤子の側に下ろし
シウォンは袖で何度も涙を拭っていた。





その時の私には
小さな君を抱く力も残っておらず


君に這って近づき、縋りつくようにしてそっと君に触れた。










君は小さくて、温かくて、柔らかだった。












小さな君と

私とシウォン。






三人共、馬鹿みたいに泣いた。


















「生きろ!
チョン ユンホ、、、!!」

















シウォンは、
オイオイと泣きながらそう言って

私は、泣きながら何度も頷いた。
















もう一度、君と生きたい。














それが、君との新たな始まりであった。




















La Fin



















最後までお付き合いありがとうございました。
最終話ですので、
簡単に感想でもいただけたら嬉しいです。
明日、後書きを上げます。
もしよろしければお立ち寄り下さい。

ではまた明日17時にお待ちしております。

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【2015/08/29 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(60) |
君に逢いたくて65
君に逢いたくて65

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。



































実は、あまりよく憶えていない。




大き過ぎる悲しみは
記憶に留まる事を許されぬらしい。


人間の脳味噌は実に優秀で
優秀過ぎて融通も効かぬところが実に厄介でもある。



君との思い出は
その全てが鮮明で輝きに満ち溢れ
時を分かたず私を苦しめ続けていた。



何故生きてしまったのか。



命の恩人であるシウォンを心の底で罵倒し
自分の生を呪っていた。




私は自己中心的で
最低最悪の人間。




これがきっと私の本性なのだと
深く自分に絶望した。















「チョン ユンホ。
いい加減飯を食わぬと死ぬぞ?」


その後も、シウォンは頻繁に顔を出した。


『食欲などない。』


ただそれだけの台詞が
億劫で言葉にならない。


「死んでもおかしくはなかった。
何故生きているのか、その意味を考えろ。
あの人がお前を生かしたに違いない。」



人間とは勝手なものだ。
生きる事が苦痛になれば勝手にその生を終わらせ
周りの人間は無責任にそれを責め立てる。



君が私を生かした?



死人の口を勝手に代弁するなどは、
決して許されぬ行為だと思う。





『連れていってしまいたい。』





君はそう言ってくれたのを
私は決して忘れはしないのだから。



















目覚めるまでの数日、
私は眠り続けていたらしい。


誰もがもう終わりだと覚悟をしていたにも関わらず
奇跡的に目を覚ました。

それからまた数日。
水以外のものをほぼ口にしていない。

時間の感覚は既に麻痺し、
どれほどの時を過ごしているかは全く分からず、興味もなかった。

今の自分は一体どうなっているのか。
鏡などは見てもおらぬが、ギスギスした自分の手の不気味さで察しがつく。

きっと、二目と見られぬ醜さであろうと推測する。



まさに心と身体は表裏一体だ。










「渡すべきかどうかと悩んだが、、、
やはりお前に返すことにした。」



シウォンは、金平糖と白い欠片の入った小瓶を布団の横にそっと置いた。



「あの後、あの小屋は取り壊されてな。
立ち会った時に池で拾ったのだ。
この金平糖は見覚えがある。
お前のであろう?」





ついに心臓が止まるのを覚悟した。

これは私が詰めた君の欠片だと
ちゃんと海馬が記憶していたから。



君の欠片が
私の元に帰ってきた。



ずっと君をここに連れて来たかったから
ある意味夢は果たされたのだろうか。

記憶から消し去られた筈の真っ白な君の姿が、鮮明に脳裏に浮かんだ。





君の死を
受け入れたくはないのに
受け入れて
楽になりたいとも思う。




愛する者をめぐる矛盾は
狂おしいほどに切なかった。









「あの人は?」





久しぶりに発した声は
少し震えていた。

突然の私の声に
シウォンは驚いた様に眼玉をひんむいた。



「チョン ユンホ、、、
お前、喋れるのか?
この指は何本だ⁈ 見えるか⁈」



ただ口を開くのが億劫なだけなのに
皆には、生ける屍に見えていたらしい。

それとも、これを生ける屍というのであろうか?
それすらも、よく分からない。


「あの人は、見つかりそうか?」


ポソリと呟くような私の台詞に
シウォンはギュッと唇を噛んだ。


「お前がそれを望むなら、俺が探してやる。」


シウォンは突然泣き出して、
つられて私まで涙が出た。


「もう、いいんだ。
ゆっくりと眠らせてやりたい。」


シウォンは激しい嗚咽を漏らし
私の手を握り締めてきた。


「死ぬな、、!!
生きろ! あの人の分も!
お前にはその義務がある!!」


私の現実逃避を
シウォンは許してくれぬつもりらしい。

あの人の死を私に何度もぶつけるのは
とても残酷な行為だと思うのだが
シウォンのそれは
酷く優しく、温かだった。


頭では理解しているのだ。
あの人の死を。
しかし心はなかなか頑固なもので
それを受け入れることは容易ではなかった。

私の身体は、少しでも長く生き永らえようと必死なのだと思う。



全てを受け入れた時
私の時間は止まるのだと
そんな気がしていた。

















産まれる瞬間に
人は大きな荷物を背負う。

その荷物は生きるほどに重く、大きくなって
それを勝手に下ろすことは許されないし
出来れば本当は
誰も下ろしたくもないのだと思う。


要は、それぞれの限界値の問題で
きっと私はそれを超えてしまったに違いなかった。



「シウォン。
お前には、感謝しなくてはな。」



シウォンがどう受け取るかは分からぬが
私を助けたことではなく
あの人を愛する私を、いつも励まし力付けてくれたことに感謝していた。


「そうだ!
この貸しはとてつもなく大きい!
早く元気になって俺に返せ!
お前のせいで、俺までヒチョルと二度と会えなくなったのだから!」


シウォンは泣きながら話すものだから、鼻水やら唾やらが飛んできて
迷惑ながらも、つい笑ってしまった。


「シウォン、ありがとう。
本当にすまない、、、」


シウォンの期待には応えられそうにないが、大切な親友に心の底から感謝していた。
















「坊ちゃん。」


シウォンの後、ソンミンさんが部屋を尋ねてきた。
私の意識が戻ったとシウォンが口を滑らせたに違いなかった。


「少しだけ、いいかい?」


優しく微笑んだソンミンさんを
私は精一杯の笑顔で迎え入れ
ソンミンさんは枕元に腰を下ろした。

微かに香る煙草の匂いが少しだけ懐かしく思った。


「坊ちゃんには、感謝しなけりゃならない。」


俯きながら小さな声で話すソンミンさんは、いつもより何故か小さい。


「チャンミンが、まさかあんな所に眠っていたなんて思いもしなかった。」


ソンミンさんは呟くように言って
ジャラリとあの懐中時計を取り出した。


「坊ちゃんの懐に入っていたんだ。
壊れていたから、ちゃんと直しておいたからね。」


そして、あの小瓶の隣にそっと置いた。


すると弱っているはずの心臓が
ドクンと跳ねた。


私は布団の中でギュッと拳を握り
荒くなる呼吸を必死で耐えた。


「祖父がこの懐中時計を遺した相手、、、それはチャンミンですか?」


枕元に響くカチカチという小さな音に芽生える行き場のない怒り、嫉妬。

ソンミンさんは、小さく二三度頷き
この瀕死の身体に
とめどない激情が湧き上がってきた。



「先代とチャンミンはとても深く愛し合っていたんだ。
誰にも気付かれぬよう、ひっそりとね。」



ソンミンさんの紡ぐ言葉の一つ一つが
私の胸を鋭く抉り、息が上手く吸えなくなった。


止めてくれ、、、
と心の中で何度も叫ぶのに
唇は固く閉じて開こうともしない。



「きっと待っていたんだ。
あの人が迎えに来るのを。
チャンミンが坊ちゃんを呼んだんだ。」







私は、祖父の代わりではない。
生まれ代わりでもない。
私は、私でしかなく、
私として君を愛した。






その想いをどうか消さないで欲しい。







蓮華の池での日々は
私と君だけのものなのだから。



君を愛し、愛された記憶が
今の私の全てなのだから、、、
















「昔あの池に、
先代の骨を撒いたんだ。」













ソンミンさんの一言が
私から君の全てを奪い去った。


























明日、最終話です。
どうか読んで下さい。
全ては明日の一話のために。
では、明日17時にお待ちしております。

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【2015/08/28 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(17) |
君に逢いたくて64
君に逢いたくて64

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。























sideシウォン










「シム チャンミンねぇ、、、
大体シムという名はこの辺りには無い苗字だ。
茶屋に売られてきたとしても、俺の耳には必ず入ってくるから間違いねぇ。」


「そうか、、、ありがとう。」


懐から小さな包みを出して徳利の横に置くと、目つきの鋭い男はニヤリと笑った。


「いつもご贔屓にどうも、、、
チェ家の若旦那。」


「もしもその名前の人物のことを耳にしたら、すぐに教えて欲しい。」


懐からもう一つ小さな包みを出し、その上に重ねた。

目つきの鋭い男は黙ってそれを懐に仕舞いゴホンと一つ咳払いをして、ヒソヒソと話し始めた。


「余程ご執心の様子だねぇ。
、、、一つ面白い話を教えてやろうか?」


「、、、面白い話?」


賑やかな酒場には似つかわしくない小さな声に、思わず息を詰めて耳を寄せた。












情報屋の話は
面白いどころか私の背筋を凍りつかせる内容であった。

もしそれが事実であるのなら
チョン ユンホの蓮華の君、シム チャンミンが容易に探し出せないことにも合点がいく。

情報を入手した後、朧月へと向かった私は
更に驚愕の事実と対面した。



「シウォン、
あんたももうこの店には出入り禁止だ。」



「ヒチョル、、、
一体どういうことだ?」


能面のようなヒチョルの顔。
その瞳には燃えるような怒りが見てとれて、事の深刻さが感じとれた。

事の顛末を聞き、思わずヒチョルの胸ぐらを掴んでいた。


「そんな状態で彼奴を放り出したのか⁈」


自身でも正直理解に苦しむが、
その時の私は怒りで我を失っていたと思う。


「勘違いするな。
あんたらはただの金づるだ。
それが何の罪もないテミンをどこまで苦しめるつもりだ?
金持ちの道楽にはこれ以上付き合えねえ、、、」


ヒチョルが、終いまで話す前に駆け出していた。

彼処しかない。

きっと彼奴は蓮華の池にいる。

夢中で走って、走って。

蓮華の池への順路も
周りの景色も
何一つ憶えていない。

ただ、嫌な予感でいっぱいで
怖い。
そう思っていたのは確かであった。

彼奴を永遠に失うと
そう思った。

















そこに見たものは

燃えるような真っ赤な夕日と

沈みかけた舟に横たわる彼奴。



「ユンホ! おい!
チョン ユンホ!!!」


大声で叫びながらも、
何故かもうダメだと思っていた。

迷う事なく服を脱いで池に飛び込み
汚い泥水を幾度か飲んだ。

必死で泳いで舟に辿りつき、
目にしたものは
真っ赤な着物を見に纏うそれを
大事そうに抱き眠る彼奴の姿だった。

私の目に写るそれは
明らかな人骨で

それでも込み上げてくるものは
恐怖ではなく
悲しみであった。



そこにあったのは
怨念とか、呪いとか、そんなものではなく











ただとてつもなく
大きな悲しみだった。











骸を抱いて眠る彼奴の顔は
決して穏やかでなく、苦悶に満ちていた。



「おい、帰るぞ。早く起きろ。」



彼奴の腫れ上がった頬を容赦無く叩き、
強く揺さぶった。

涙が溢れて声がみっともなく裏返ってしまって、
それでもしつこく彼奴を起こした。


「男たる者、諦めが肝心だ。
もう、終いにしようではないか?」


目覚めぬ彼奴を骸から引き剥がし
溺れそうになりながらも、此奴を担いでなんとか岸まで泳ぎついた。

振り返れば、船首だけ水面から顔を出した棺が
美しい夕日と共に沈んでゆく情景。


私は褌一丁で
彼奴はまるでボロ雑巾さながらだった。


何故か涙が永久と思うほどに
止めどなく流れ
きっと此奴の代わりに流す涙だと
存分に泣き続けた。







幸か不幸か、
微かに息をする此奴と
此奴が命を懸けて愛した骸の







永遠の別れを見届けた。












涙に滲む真っ赤な夕日が
ゆっくり水面に沈みゆくのを。
















































こんにちは、ホランイです。
拍手コメント、ありがとうございます。
とても励みになっています。
一つ一つ大切に読ませていただいております。
まだお返事できていないものに関しては蓮華の一部終了の後書きにてお返事をさせていただこうと思います。
遅くなってしまい、大変申し訳ないのですがお許しください。


残すところ後二話です。
また明日17時にお待ちしています。

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【2015/08/27 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(10) |
君に逢いたくて63
君に逢いたくて63

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。



























見いつけた。













探し続けた本当の君。













古惚けた小舟に
君は小さく横たわっていた。

ボロボロの紅い着物に
真っ白な君のコントラストが胸に刺さる。

君の足元にはあの下駄が綺麗に並べてあって、君らしくて胸が締め付けられた。

そして船底に散らばる金平糖、
それはまるで君を包む星空のようだと思った。

君が待っていたのは
きっとこの瞬間なのだろう。
この真っ暗闇から
解放される瞬間。




「チャンミン、、、」



舟のヘリに手をかけて
囁くように君を呼んだ。

君はぐっすりと眠っているから
返事などは、はなから期待していない。

君の返事がないのをいい事に
小枝のように細い君の指に手を伸ばし、
そのまま君の手をとって
自分の頬にそっと擦り付けてみた。

すると小指が一本ポロリと取れて
驚きのあまりに
「ああっ、、、」
と思わず声が漏れた。



「すまない、痛むか?
痛むよな、、、?」



痛いと言わぬ無口な君から落ちた小指を慌てて掴むと
ポロポロと崩れて破片となって
「ああああ、、、」
と思わず泣きそうになってしまった。




これでは、君に触れることも出来ない。



君に拒絶されたようで
益々もって苦しくてかなわない。









君は触れてはならない
禁断の花に違いなかった。











蓋が空いて散らばった金平糖を
一粒拾って口にポイと入れた。

口の中でホロリと溶けてなくなって、
今度は一粒そっと君の口に入れた。



「金平糖は好きであろう?」



小舟のヘリに頬を擦り寄せ
君をうっとりと眺めてみたが

君は変わらずに綺麗で
君の心のように真っ白く澄んでいた。


君の欠片すら愛おしくて、
金平糖の小瓶に
君の砕けた小指をそっと集めて蓋をした。


君は全て私の者だ。
欠片さえも、その全てが愛おしくて
私は独占欲の塊になった。





「蓮華が枯れてしまったな?」

「蓮華の咲かぬ池はなんとも寂しいものだ。」

「この金平糖は気に入ったか?」

「天の川がとても綺麗だから、お前と一緒に見たいと思ってな。」

「今日は土砂降りの雨で着物がすっかり濡れてしまって、、、」








元来よく喋る性格ではなかったが、
なぜか饒舌に次から次へと言葉が口を突いて出た。

君が退屈せぬよう必死だったのかもしれない。

空回りのような気もしたが、
沈黙よりは幾分マシだと思う。

物言わぬ君に沢山話して
やっぱり君の声が聴きたくなった。


あの歌が聴きたくて、涙が出そうだった。









「舟を出そうか?」


「満開の蓮華を
またお前と共に見たいのだ。」









ほんの小さな丸太舟だが、やはり思った以上に重く
土砂降りの雨の中を汗塗れ、泥塗れになって舟を引きずった。

もう力なんぞ残ってはおらぬのに
君の前では強くありたいし、頼られたいとあくまで強がりを通した。

最後まで、
君に夢中で恥ずかしいくらいだ。














舟を池に浮かべる頃には
土砂降りは嘘のように上がり
夕日が辺りを赤く染めていた。

あの饒舌ぶりはどこ吹く風とばかりに
無言で君と夕日を見つめ、
君と見る太陽は
きっとこれが最初で最後だと
少し感傷的になってしまった。

今頭の中を走馬灯のように巡るのは
全てが全て君の事で
君に出逢うまでの人生は何だったのかと
疑問に思わざるを得ない。

船底に開いた小さな穴から
ぷくぷくと水が浸み出して
少しずつ舟を侵食し、
いつの間にやら君の足元を
しとどに濡らしていた。

真っ赤な着物は濡れて
黒く、くすんだ色に染まり
君にはこんなに暗い色ではなく
優しい蓮華の色がいい
と今さらながらに思っていた。


結局、君が蓮華色の着物を着ることはなかった。


私の色には染まりたくなかったのであろうか?

その悔しさに思わず歯噛みをしてしまう。

君の愛する人の好みはイマイチだ。
それが我が祖父であれば残念でならぬ、と心の中で悪態をついていた。

水は少しずつだが確実に浸水し
ぷかぷかと下駄を浮かび上がらせて、
その蓮華色の鼻緒が真っ赤に染まっているのを目にした時は
流石に愕然とした。

夕日が、全てを赤く染めていたのだ。

気付けば鼻緒どころか
真っ白な君さえも赤く染まって、
とてもとても寂しくなった。

君の全ては君の愛する人のもので
私のものなど何一つなかったのだと、
今際の際で思い知らされるとは。








私はなんと惨めな男だ。









真っ赤な君を見つめる程に苛立ちはつのり、目には熱いものが滲んだ。

どのように蔑まれようと
君を愛する気持ちに一片の曇りもなく、
求め続ける自身が憎らしくて敵わない。

激しい苛立ちに翻弄され
その本能のままに君を強く抱き寄せた。


すると君はボロボロと崩れ落ち、
私の抱擁すら拒否しているように思えて遣る瀬無かった。




あんなに、愛し合ったのに。



君と。



この憎らしいほどに赤く染まっている
真っ白な君と。










砕けては水に沈んでゆく君の欠片を
必死で懐に掻き込んだ。



決して誰にも渡さぬと決めたのだから。



しかしその懐には沢山の小石に紛れ
懐中時計がキラリと光りを放っていた。



それを目にした途端
私は自身の精神的限界点を軽く飛び越え、
プツリと何かが事切れた音を聞いた。








その後のことはよく分からない。


奇声を発したような
言葉もなかったような。



とにかく
真っ暗闇に沈んだ。












漕ぎ出した舟の行き先は



永遠に蓮華の咲く池はではなく



真っ暗なただの汚い沼の底であった。






























































残すところ後三話。
また明日17時にお待ちしています。

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【2015/08/26 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(8) |
君に逢いたくて62
君に逢いたくて62

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。



























土砂降りの雨が降っていた。


冷たい雨に濡れたせいか
身体が鈍く重い。


君が濡れてしまう、、、
と辺りをキョロキョロと見回したが


君の姿はなかった。


なぜ目を覚ましたのか。
まだ眠っていたいのに、、、


仕方なく
枯れ果てた蓮華の池を呆然と眺め
君に想いを馳せた。










ひ〜らいた
ひ〜らいた
な〜んのは〜ながひ〜らいた、、、










何とはなしに口ずさんだこの歌。


頭の奥でこだまして、離れてくれない。


君の声が好きだ。
香りも、瞳も、髪も、指先も。
それから、それから、、、





もう、君に逢いたくてたまらない。





「チャンミン、、、」





ポソリと名を呼んで
君の気配を探った。


しかし、ザーザーと降り続ける雨音が
邪魔をしていけない。


雨の分際で君を掻き消すなど
無粋にもほどがある。



「チャンミ〜ン、、、」



今度は少し
抑揚をつけて呼んだ。
















土砂降りの雨に打たれて
沢山血を流して

池に浮かんだ男が1人、、、

それで良かった。


幸せすぎた過去と
苦しみしかない未来。


それを歩く勇気が
一体誰にあるというのだ。


少なくとも私には無い。


君は言った。
『貴方を連れて行きたい。』



それでいい。
それがいい。


どうしても覚める夢ならば
二度と覚めぬようにすればよいのだ。


そしてまた君と出逢う。


永遠に枯れない蓮華の池で。

















「チャンミ〜ン、、、」


繰り返し愛しい人の名を呼んだ。

君は、しつこい男は嫌いであろうか?

君の愛情は深くて広い。
ゆえに私は溺れきって
駄目な男になりさがってしまう。

だから君を愛して止まないし
二度と離れられない。

君と出逢った時から
変えられはしない。

君でなければ、もう駄目なのだ。
欲しいのは君だけ。

君、ただ一人だけ、、、









君を探さなければ。

隠れん坊など、
幼少以来で少し気恥ずかしいが。

















「チャンミ〜〜ン、何処だ?」




草の根を掻き分けて君を探した。


なかなか見つからなくて、
今度は地面を掘ってみる。


爪の間が土で茶色く染まって
なんだか酷く不潔な男のようで止めた。


綺麗な君が
こんな所にいるわけがない。



君は細いが、決して小さくはないから
このような所には隠れられぬ。
と今度は林に向かった。




「チャンミ〜〜ン、何処だ?」



そこは雨粒が葉を揺らす音が
絶え間なく響いていて

それが返って無音のように感じる
不思議な空間だった。


これではきっと聞こえぬと
もっと大きく君を呼ぶ。



「チャンミーーーン!!」



全く、酷い雨音だ。


耳を塞いで何度も叫び続けた。
どうか、君に届くようにと。




結局、喉が潰れるまで君を呼んで
それからは、嗄れた声で
ブツブツと君を呼んだ。


木々の間を縫うようにして歩き
小枝を折って前へ進む。



小枝や葉に所々切られて血が滲み出て
自分の生に、苛立ちを覚えた。



悲しくなるのが嫌で、
歩き続けた。

一人ぼっちには、なりたくない。








散々歩き回って、
結局あの場所に戻ることにした。












池に胸まで浸かって
手と足で君を探した。


蓮の根に足を取られて、
君かと一瞬高揚したが
ただの根っこだった。




隠れん坊は得意ではない。
鬼ならば尚更だ。


こんなに寂しい遊びを
一体誰が作ったのか。


きっと、とても強い人だろう。










私は、決して強くはないから
再び君を探しはじめた。














散々泳いでプカリと池に浮かんでみた。




どうだろう?

人間の最後は
浮くのだろうか?
それとも沈むのだろうか?


少しだけ、それが気懸りだ。


浮いたら、きっと連れて行かれて
君の側には居られなくなる。


どうしたものかと暫し考えて、
懐に石を入れようと思い付いた。



それならばきっと、
二度と浮かんでは来るまい。


ずっと君の側に居られるだろう。

















小石をガザリと懐に入れた。
すると
ガチンと鳴った金属音。


危うく忘れるところであった。
もう、二度と邪魔などされては困るのに。
此奴だけは連れては行けない。





時計は、もう止まっていた。
あれだけ水に浸かれば当然である。


しかし困った。
こんな場所には置いてはおけぬ。
もうここに、此奴の居場所はないのだから。

暫し思案していると、
一丁ほど先にある小屋が目に入った。



あの日も、
確か土砂降りの雨だったと
胸が締め付けられる。


下駄を胸に抱いて
ずぶ濡れのまま小屋の前に立ち尽くす君。







綺麗だった。
君は、本当にいつも綺麗だった。
















あの時のまま、
小屋の戸が少しだけ開いていた。

中からは相変わらず埃っぽい空気が漂っていて
少しだけ眉を顰めた。

相変わらず戸が固くて
仕方なく戸に身体ごとぶつかると
呆気なく戸が外れた。

中は意外に広くて驚く。

土砂降りの日中でも
月明かりの夜よりずっと明るくて
まるで初めて訪れたかのような
違和感であった。



小屋の中には小さな棚があって、
古ぼけた沢山の蝋燭と
何重にも巻きつけられた太い紐が置き去りになっていた。

部屋の隅には丸太が山のように積み上げられていて
中央には小舟が鎮座していた。



その何もかもが古めかしくて
人が使用している気配など一切なく

この人気のない池に何故この小屋が建てられたのか不思議でならなかった。


その古ぼけた小屋に足音を忍ばせて
そっと中へと歩を進めた。








君が隠れているやもしれぬ。









なぜか胸がトクトクと高なって
胸元を掌で握り締めながら
小屋の中央にある
古惚けた小舟にゆっくりと近づいてみた。










それは
永遠に蓮華の咲き誇る池への道標。

















君が眠る揺りかごであった。


























あと残り四話です。
また明日17時にお待ちしてます❤️

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【2015/08/25 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(10) |
君に逢いたくて61
君に逢いたくて61

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そこには変わらず美しい笑顔の君がいた。





「ユンホさん、、、」





いつにも増して綺麗な君は、なんだか神々しいとすら思えて、無意識のうちに目を細めた。

すると君は心配そうに眉を寄せて


「、、、痛い?」


と私の唇の端にそっと触れた。


「こんなものは痛くも痒くもない。」


私は強がりを言って更に強く君の手を握りしめた。

本音を言えば自分で噛んだ舌も、ヒチョルに殴られた左側の頰も熱を持って激しく痛んでいた。
しかしそんなことも感じぬ程に胸が酷く痛んでいた。


「私が痛いのは、ここだよ。」


君の掌を握りしめながら、自分の胸に当てた。
するとじんわりとそこが温かくなって、身体から痛みが引いていくような気がして、
それだけでなんだか泣きそうになった。

すると君は困ったように微笑みながら私の髪を撫で、私は君を真っ直ぐに見つめた。


「何故私を捨てた?」


君は私の言葉にぴたりと手を止め、優しく私の視線を捉えた。


「捨てるだなどと、、、
私は貴方を解放したかった。
ただそれだけ、、。」


「、、、解放?
私はそのようなことは一切求めておらぬのに。
それでも私のプロポーズに対する答えは変わらぬのか?」


すると君は髪を梳く手を止めて、悲しげに目を伏せた。



「、、、貴方が私を捨てたのです。」


「、、、私が?
いつ私がお前を捨てた?」



悲しげな君の瞳は、またも私を絶望の淵へと追い込んでいった。
君の言う私はここにいる私ではなく、
私に誰かの面影を重ねているだけなのだと思い知らされて辛かった。


「チャンミン、もう何処にも行かぬと約束してくれ。」



私は怖くなって、縋るように君の着物を掴んだ。
すると君の瞳がゆらゆらと揺れて、私はそれが怖くて堪らなくて誤魔化そうと必死に歪んだ笑顔を作った。



「そうだ、一層の事二人で何処か違う所へ行こうか?
もう少し温かい所がいいな。
海が見える場所もいい、、、」



ペラペラと一方的にまくし立てる私を、君は優しい瞳で見つめていた。

そして君はその優しいはずの瞳の奥に、絶望的と思える程の深い悲しみを湛えていて、私はその視線に耐え切れずにぎゅっと目を閉じ、君のいない世界へと逃げ込んだ。











君を閉じ込めてしまおうか?
永遠に、二人だけの世界に。












君を掴む手がガタガタと震えだした。

そんなことを思う自分を信じられないと驚愕する反面、今しかないと思う冷静な自分もいた。

目を閉じていても分かる、君のその澄んだ瞳の中にある慈愛と拒絶。
その相反するものを混交した君の眼差しは、私の中の狂気をずるずると引き摺り出してしまった。










「受け入れぬなら、、、
何故また私の前に現れた?」












「貴方が、枯れてしまいそうだったから。」











「私を憐れんでいるのか?」
















「違う。愛しているから。」















嘘だ。嘘だ。嘘だ。

お前は、なんて酷い男だ。





















私は狂気へと走り、目を見開いて君に飛びかかった。

もう自分の身体さえ支えきれぬ程弱っているのに、一体私の何処にそのような力が残っていたのか不思議でならない。

力尽くで押し倒された君は、先程となんら変わらぬ慈愛に満ちた瞳で私をジッと見上げていた。









「愛しているなどと、二度と申すな。」









「でも、愛してる。
きっと貴方が私を想うよりずっと、、。」













君の綺麗な顔にボタボタと雫が落ちた。
私に降る雨は土砂降りで、視界から君を見失いそうであった。












「、、逃げろ。
私はきっとお前を許しはしない。
だから私を殴り倒して逃げてくれ。
早く、今すぐに!」











言葉とは裏腹に、私の両手は君の首を捉えていた。
白くて細い首を徐々に力を込めてギリギリと締め上げてゆく。
私の両手には既に感覚が無く、どの程度締め上げているのかもよく分からなかった。



私は一体どのような顔をしているのであろう?

愛している。
という身勝手な感情で一方的に君を閉じ込めてしまおうとする私。



今の私は、生きる価値などない狂人だ。
狂人ゆえに、君を早く手に入れて、私も楽になりたい。




そんな身勝手な私を
君は優しく両手で包み、言葉を紡いだ。











「貴方を、連れて行ってしまいたい。」













私の力が無いだけであろうか?と一瞬疑問に思うほど、
君は顔色一つ変える事なくそう呟いた。













「やっと出逢えたのにもう終わりだなんて、、、
そんなの悲しすぎるでしょう?」












君の瞳から、涙の雫が流れた。

それは瞬きする度に幾筋も流れて、綺麗で胸が苦しくなった。
そんなものは到底見てはいられぬと、全力で首を締め上げた。

腕はブルブルと震え、私は目を閉じて俯いた。
君は無言で両手を下ろし、やっと私を受け入れてくれたのだと思って嬉しかった。
するとその瞬間









ガチャリ。










音を立てて懐から転がり落ちてきた私達の運命。

その懐中時計に
またしても君を奪われるのだと思った瞬間、身体の力がだらりと抜けた。













きっと私は君を愛し過ぎてしまった。















「、、、うっ、、うぐっ、、うぅぅぅ、、」












私は嗚咽と共に君を解放した。
それは私が生きたまま地獄へと落ちると決意した瞬間でもあった。


君は、激しく嗚咽する私の背中を優しく撫でてくれた。
それは優しく、何度も何度も、、、



そして長いこと子供をあやすように私を撫でていたその手で、君はそっと私を包み込み、私は自然と従うように君の胸に顔を埋めた。
まるで母親に甘える赤子のように、、。

そして君はそっとあの歌を口ずさんだ。












ひ〜らいた
ひ〜らいた
な〜んのは〜ながひ〜らいた、、、












美しい歌声に涙が止まらなかった。

こんなに沢山泣いたのはきっと生まれて初めてで、終いには自分が何故泣いているのかもよく分からなくなった。


沢山沢山泣いて、私の意識が朦朧としてきた頃、君は震える声で囁いた。












「ずっと貴方に逢いたかった。」














君も泣いていたのだと、やっと気付いた。















それが君と私の最後であった。






































残り、あと5話です。
最後までよろしくお願いします。
また明日17時にお待ちしています❤️

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【2015/08/24 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(12) |
君に逢いたくて60
君に逢いたくて60

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暗闇を照らす色とりどりの提灯。

行き交う人々の群れを虚ろな視界に写しながら、大通りをノロノロと歩き続けた。

提灯も持たずにフラフラと歩く私の姿など、きっと誰の目にも止まりはせぬゆえ、今はその人々の無関心さに助けられる思いであった。

しかし程なくすると、珍しく私のように道の端をフラフラと千鳥に歩く男が向かってきて、どんと肩がぶつかった。


「気をつけろ!」


と私を怒鳴りつける男の濃い酒の匂いが、寧ろ心地よく感じたのはなぜであろうか。


「失礼。」


と至近の距離で顔を突き合わすと、男の顔はみるみるうちに青く染まり、へたりと地面に座り込んだ。


「大事ないか?」


と手を差し出すと、
『ひっ、、!』
と小さく声を出し、男は四つん這いでバタバタと人混みに紛れていった。

差し出した自分の掌を訝しげに見てみると、何やらどす黒く汚れていたので、ごしごしと袴にそれを擦り付けた。


なんという体たらくだ。


君には到底見せられぬと思い、ため息が漏れた。
それに君にはきっともう逢えぬと分かっているのに、身なりを気にする自分の馬鹿さ加減にも呆れるばかりだ。

それでも万が一、、、と馬鹿馬鹿しいとは思いつつ腕で顔を拭うと、着物の袖が真っ赤に汚れた。


「あぁ、、、」


と思わず落胆し、またトボトボと歩き始めた。








こんな姿を見られては、君に嫌われてしまうかなぁ、、、








そんな風に思って、少しだけ肩を落とした。












やっと辿り着いた蓮華の池はとても静かで、穏やかに時を刻んでいた。

残された一輪の蓮華の花弁が今にも水面に落ちそうで、思わず支えたい衝動に駆られる。


枯れない花があってもいいではないか。


寂しくて、またそのような馬鹿げたことを思う自分を
悲しい男の顛末だ。
とまるで他人を見るように憐れんだ。

蓮華の朽ち果てる様を見届けようと、
暫しその最後の一輪を射抜くように見ていたが、
ただ座っていることすら億劫になってきて、
仕方なくゴロリと腕を枕にして寝転んだ。

すると其処には幾千もの星々が眩しいと感じるほどに煌めきを放ち、
そんな美しい夜空になぜか絵も言われぬ違和感を感じていた。


その空には月がなかった。



そうか、新月か。



月の無い美しいその夜空は、私の心にぽっかりと穴を開けた。

だから私は君と見た月を、その月のない夜空に思い描いた。

きっとこうして淡々と月日は過ぎて行き、私は君を思い愛して生きてゆくのだろう。

抜け殻のように生きて、何時迄も若く美しい君に恋焦がれて。








辛いなぁ。



まるで生ける屍ではないか?



そんな世界は、きっと堪えられはしない。









生きるということが、こんなに辛いだなどと思うことはなかったのに。

と生きることの無意味さ、虚しさから逃れるようにゆっくりと目を閉じて、さらに暗い世界へと自らの意識を落としていった。

弱音と、後悔と、諦念。
今の私は負の塊でしかなかった。









そんな暗闇に堕ちた私を、フワリと柔らかな風が包んだ。

微かに香る蓮華の芳香、そして私の顔に触れる柔らかなその温もり。








君だ。








と感じた。
熱で、肌で、香りで、空気で。
私は君の全てを余すことなくこの小さな海馬に記憶していた。


その突然の君の気配に呼吸さえも儘ならぬほどに身体は緊張し、狂ったかのようにその温もりに縋りついた。

目を閉じたまま、声もなく、ただ震える手で君を感じた。






「ユンホさん。」






恋焦がれた君の声が、優しく天から降ってきた。

その一音たりとて逃さぬようにと息を吐く事さえも憚られる。







チャンミン、、、







心の中では何度も君の名を呼んでいるのに、唇が上手く形を作れず焦るばかりであった。








「ユンホさん、、、」







君は私の名を呼びながらそっと髪を梳かし、その優しさが私の緊張をゆっくりと解かしていった。







「チャンミン、、、やっと逢えた。」









その優しい温もりを逃さぬようにと強く握りしめたまま、虫の鳴くような声を発し
夢でないようにと願いを込めながら
ゆっくりと目を開いた。




























〜拍手コメ返〜
wish◯min様❤️
いつもコメありがとうございます!
ついにラストに向けてラストスパートです。最後までよろしくお願いします♡


また明日17時にお待ちしてます❤️
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【2015/08/23 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(8) |
君に逢いたくて59
君に逢いたくて59

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。
























「ここから出るなとは一体どのような了見だ?」


「シウォン様からそう仰せつかっております。」


「、、、シウォンが?」


「はい、、、お許しくださいユンホ様、、、」


身体の自由がきかぬ不快感に目を覚ますと、何故か私の身体は柱に紐で括られていた。


「これは幾ら何でもやり過ぎであろう?」


「シウォン様のお言い付け通りでございます。」


テミンは申し訳なさそうに俯いて、しかし頑として譲ろうとする姿勢を見せる様子もなかった。


「テミン、今何時だ?
私には行かねばならぬ所があるのだ。」


チラリと見た虫籠窓から見える景色は未だ暗く、それほど時は過ぎていないと少しばかり安堵した。


「シウォン様が明日また来られます。
それまで暫しご辛抱ください。」


頑ななテミンの口調に、私は思わずため息を漏らした。
入水を企んでいる場面をシウォンに見られたことが何よりまずかった。
と、後悔しきりであった。


「テミン、私はお前を嫌いたくはないのだ。」


私のその一言に、テミンはビクリと肩を震わせた。


「今私を解放せねば、きっと私はお前を憎むことになる。」


テミンはその言葉を受けて目を見開き、ギュッと下唇を噛んだ。


「テミン、私を解放してくれ。」


「、、、駄目です。」


それでも頑なにテミンは私の申し出を拒んだ。


「テミン!」


私の苛立ちは徐々に積もり、それは抑えきれない衝動と化して、無意識に大きく声を発していた。


「嫌です!
嫌、嫌、嫌!!!」


すると突然発せられたテミンの発狂とも言えるほどの叫び声に、私は思わず怯んだ。


「、、、テミン?」


私は驚きを隠せぬままに、おずおずとテミンの名を呼んだ。
すると今度はしっかりと私を見据えながら、テミンは苦しげに声を発した。


「ユンホ様、どうぞ私を憎んで下さいませ。
一層の事、殺していただいても構いません。」


テミンの瞳には硬い決意が宿っていた。

言葉を発しながらも徐々に苦しそうに眉を寄せ、拳が白くなるほどに握りしめるテミンのその痛々しい姿に私も胸が痛んだ。


「私がユンホ様に愛してもらえることなど、きっと一生ないのでしょう?」


私の気付けなかったテミンの悲しみが、ポロポロと口から零れ落ちてきた。
私はその様子をただ見つめることしか出来なかった。


「ただの友人で終わるなら、忘れられぬほどに憎まれた方がずっといい、、、。」


テミンは言葉を紡ぎながら、今度はその悲しみを大きな瞳からポロポロと落とした。

しかし私はその光る涙を見て思い出してしまったのだ。







止めどなく美しい涙を落とす君の姿を。
君に逢いたい。という切なる想いを。







ポロポロと美しい涙を流す君の姿を、私は生涯忘れることはないのだろう。

目の前で涙を流すテミンを思いやる気持ちさえ私には残されてはおらず、
その姿をまるであの人のように錯覚して、胸を掻きむしりたいほどの衝動が喉元まで湧き上がってきた。





逢いたい、
逢いたい、
逢いたい、、、



君に逢いたい、、、












私はテミンに朦朧とした視線を送りながら、犬のようにベロリと舌を出した。

そしてそのままギュッと顎に力を入れると生温いものが溢れ出してきて、
テミンが飛び出しそうな程に目を剥くのが見えた。

凄く小さくテミンの悲鳴が聞こえた気がしたが、やはり無音のような気もした。
キーーンと響く耳鳴りが不快で思わず眉根を寄せると、いきなり口にテミンの拳が突っ込まれて
無意識にテミンの拳までもをギリギリと噛んでしまっていた。


薄ぼやけた視界の中に、何やら慌ただしく人が入ってきて、突然感じた左頬の強い痛みに奇しくも私は意識を取り戻した。


「止めて!!
ヒチョル兄さん、止めて下さい!
お願いします、、、どうかお願いだから、、、」



テミンは真っ赤に染まった拳を抱えてヒチョルに縋り付いていた。

気付けば私の拘束は解かれ、肉体は解放されていた。


「消え失せろ!この疫病神が!!」


私の胸ぐらを掴み荒々しく罵倒するヒチョルに、私は心から感謝をした。


「ありがとう、、、ヒチョル。」


「、、、次ここに顔を出したら殺す。」


ヒチョルは私の耳元でそう囁いて手荒く私を突き飛ばし、テミンを抱えて部屋を出ていった。

テミンは酷く暴れ、意味を成さない言葉を絶え間なく叫んでいた。

そして私は一つ大きく息を吐いてノロノロと立ち上がり、足を一歩前に踏み出した。







今宵こそ、君に逢えるといいなぁ。







そしてトボトボと夜道へと溶け込んでいった。

















また明日17時にお待ちしております❤️

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【2015/08/22 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(16) |
君に逢いたくて58
君に逢いたくて58

作品に関する注意事項。

ここから先は、暗く重い展開です。
万人向けでは決してありません。
気分を害さない自信のある方のみ先へお進み下さい。




























sideシウォン













誰も近寄らぬような鬱蒼と木の茂る池の畔。




私が見つけたチョン ユンホは
池の中に腰まで浸かって、



「チョン ユンホ!」



という私の悲鳴のような呼びかけに
ゆっくりと振り向いた。


私は慌ててそいつを捕まえ池から連れ出し、
胸ぐらを掴んで額をくっつけながら大声で叫んだ。


「貴様正気か⁈ 目を覚ませ‼︎ 」


そいつはそんな呼びかけにまるで動じることなく、その感情のない虚ろな目に私の必死の形相を写していた。













「美人達、すまぬが席を外してくれ。」


びしょ濡れのチョン ユンホを朧月に引き摺るようにして連れてきた。


まずは風呂に入れて小ざっぱりとはさせたものの、その姿は普段の此奴からは想像もつかない程に精彩を欠いており、見ているだけでも痛々しい程であった。


チョン ユンホは飲めもせぬ酒を無理に煽ってはぼんやりと空を眺め、また自分で酒を注いでは一気に飲み干した。


そんなチョン ユンホのお猪口を手で塞ぎ、
私は此奴を一括した。


「いい加減にしろ。
大の男がなんという体たらく。
全くお前らしくもない。
詳しく話してみろ、力になる。」


すると此奴は鼻で笑って私の手を払い除けた。


「恋人に捨てられた。
ただそれだけだ。話すことなど何もない。
なんだ?
振られた者同士、泣いて傷の舐め合いでもするつもりか?」



一分の隙もない程に洗練されたいつもの此奴とはまるで別人のように荒れた目つき、物言いであった。



「傷の舐め合い?
結構ではないか。
振られた者同士、腹を割ろうぞ。
第一貴様が言ったのであろう?
一度振られた位で諦めるのか?と、、、」


すると此奴は真剣な面持ちで正面から私を見据えた。


「消えたのだ。
何の跡形もなく、、、
お前とは違う。
きっと、もう二度とは会えぬ。」


哀しげな目をして吐き捨てるようにそう言って、また酒を注いではゴクリと一気に飲み干した。


「消えた?」


訝しげに聞く私の声などまるで届いておらぬかのように、此奴はぼんやりと言葉を続けた。


「そうだ。
まるで泡のように、、、」



「そんな馬鹿な話があるわけなかろう?」


すると此奴は自嘲気味に鼻で笑った。


「まぁ、そうだな。逃げられたのだ、結局。
きっと、始めから私など眼中になかったのであろう。
私は一人で夢中になって、周りが見えぬほどに舞い上がって、、、終いには捨てられてしまった。」


「来たくても来られぬ事情があるのやもしれぬではないか。」


私としてはどうにも腑に落ちなかった。

此奴をその様にアッサリと捨てるなどとは、正直あまり考えられないからだ。

あまり自分以外を褒めたくもないが、此奴はそのように軽く遊んで捨てられるような種類の男ではない。

履いて捨てるほどに女が寄ってくる男であるし、、、
まぁ、私とてヒチョルに振られたわけで、絶対にあり得ぬと言いきれはしないのだが。


「お前こそ、何故あの場所が分かったのだ?」


私が一人であれこれと考えていると、ボソッとバツが悪そうにチョン ユンホが口を開いた。


「お前の家の車夫に聞いたのだ。
お前が何日も大学を休んだゆえ、家を訪ねた。
飲みに行く約束をしたまま、お前が姿をくらましたことがどうにも気になってな。
全くお前のお母上も大したお方だ。
そのような息子はおりませんと申されたぞ?
予想通り反発は強いようだな。」


能面のようなチョン ユンホの母親の表情を思い出して、思わずクスリと笑ってしまった。


「母上は気丈な方だ。
もうチョン家に私の居場所などない。」


「心配はいらぬ。
暫くここで大人しくしておれば、すぐに必死の形相でお前を探し回るようになる。
どこの母親もみな同じだ。
息子とはどこまでも可愛いものらしいからな。」


私は自分の母親を思い浮かべ、何とは無しに頭をボリボリと掻いた。


「そうではない。
彼処には私自身がもう戻る気はないのだ。」


「、、それは何故だ?」


「あの人と一緒でなければもう敷居は跨げぬ。家族に会わす顔がないしな。」


いかにも此奴らしい理由だと思った。
どこまでも真面目すぎるのが此奴の長所であり短所でもある。


「そのように意固地になるな。もっと気楽に生きれば良いのだ。」


私は此奴のそのような誠実な人間性を好ましく思っているし、外見には変化が見られても、その人間性の根本は変わらぬものだと安堵していた。

しかし、チョン ユンホはその直後に信じられぬような事を口にした。


「、、、実は酷く複雑な問題を抱えている。
蓮華のあの人は祖父の血縁、若しくは祖父と何らかの関係があるらしいのだ。
私はそんな人と関係を持ってしまった。」


「血縁?、、、お前のお爺様はご存命なのか?
ならば本人に聞けば話は早い。」


「祖父はもう40年も昔に他界している。」


突然の突拍子もない此奴の話に、私は思わず眉を顰めた。


「、、、では何故血縁だなどと?
蓮華の君がそう言ったのか?」


「そうではない。
しかし、あの人は私と祖父を混同していたように思うのだ。
血縁というよりむしろ恋人、、
そのように思えて仕方がないのだ。」


これは恋人に逃げられたショックゆえの現実逃避であろうか?
あまりに意味不明な此奴の話に私の頭は酷く混乱した。


「ちゃんと私が分かるように話せ。
でないと全くもって意味不明だ。」


そして私は、チョン ユンホからこれまでの経緯を最初から詳しく聞く事となった。













「、、まずその蓮華の君は何処に居を構えておるのだ?」


「聞く前に逃げられたのだ。」


チョン ユンホから聞かされた話は、全くもって現実味がなく、とにかくその蓮華の君の所在を確かめる事が先決である、と私は結論を出した。


「いや、しかしなんとなく予想はできるであろう?毎日あの池に来ていたのなら家はそう遠くではないのだろうし。」


「それがサッパリ解らぬのだ。
いつも私の意識のない間に帰るか、林の中に溶け込むように消えてしまうか、、。」


「消える?」


「そうだ。まるで闇に溶け込むようにな。」


此奴の真剣な眼差しを見て、この話に嘘偽りはないと感じた。
するとそれがなにやら気味の悪い話に思えてきて、少し胸がザワザワとした。


「、、、会うのは夜だけなのか?」


「日中は姿を現さぬのだ。」


益々もって、なんとも気味の悪い話である。
私はその嫌な予感を、口にしてみることにした。


「、、、何やら気味が悪くはないか?」


「そうか?」


「お前、、、その自分の顔を鏡で見たのか?」


此奴の生気のない表情を改めて見て、プツプツと指先から鳥肌が立ってゆくのが分かった。


「自分の顔なんぞ見たくもない。」


吐き捨てるように話すそのチョン ユンホの顔は、以前の此奴とはまるで別人のように窶れ、夏なのに病人のような青白い顔をしていた。


「、、少し私に任せてみぬか?
人探しはお手の物だ。
お前の麗しの君を私が見つけてやろう。」



するとチョン ユンホは黙り込んで、また一杯酒をあおった。


「なに、悪いようにはしない。
その麗しの君の名を教えてくれ。」


「、、シム チャンミンだ。」


「シム チャンミン、、、」







このなんとも言えぬ嫌な予感が、私の馬鹿げた思い過ごしであってほしいと切に願った。
そのような戯けたことが現実であってはならないのだから。

しかし私の呼吸は既に荒く、
心は訳の分からぬ恐怖に塗れていた。




こうして私のチョン ユンホの蓮華の君、
シム チャンミンの捜索が始まった。


































ではまた明日17時にお待ちしてます❤️

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【2015/08/21 17:00】 | 君に逢いたくて | Comment(10) |
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